ミステリーの漫画と言えば…という存在になってきた『ミステリと言う勿れ』(小学館)。『BASARA』と『7SEEDS』が代表作でもあります田村由美先生の新シリーズです。
『月刊flowers』で連載中で、1巻が2018年1月に発売されたのを皮切りに現在13巻まで発売されています。
はっきり言ってタイトルの「ミステリ」に心惹かれて試し読みをしたのがきっかけなのですが、「あれ? ミステリーなんだけど…」「犯人は誰だ? というより登場人物たちの会話が面白いな」「事件解決!と万々歳とかにならなくて心理描写が深くて引きずるな…」という何か今までにない感想に襲われてあっという間にドハマりしました。
単なる事件解決もので終わらず、色々と考えさせられてしまう作品です。
あらすじ
episode1 容疑者は一人だけ
ある冬の朝、自分のアパートで大学生の久能整(くのうととのう)がカレーを作っていると訪問者が。訪ねてきたのは警察署の刑事で、近くの公園で起きた殺人事件について話を聞きたいという。
任意同行のはずが取調室に缶詰めとなり尋問を受ける整。被害者が整の同級生だったことを皮切りに、次から次へと整が犯人であるかのような証拠が見つかり、殺人事件の容疑者となってしまう。
誰かが自分に罪を着せようとしてると感じた整は刑事にある頼みごとをする。
episode2 会話する犯人(前編)
印象派展を観に美術館に行こうと路線バスに乗り込んだ整。自分の他には乗客が8人。走り出してしばらくするといつもと道順が違うことに乗客の一人が気がつく。皆がざわつき始めると小柄で人相の悪い男がナイフをもって立ち上がり、バスを乗っ取ると宣言する。
戸惑う乗客たちにバスジャック犯は不可思議な行動をとる。バスジャック犯は思慮が浅く切れやすいタイプなのに、その犯行はどこか冷静で用意周到さがあり違和感を抱いた整は〝変なバスジャック〟という印象を持つ。そのうち乗客の中に〝裏切者〟がいることが分かり騒然とする中、バスはバスジャック犯が言う〝目的地〟に辿り着く。
今、ebookjapanに登録すると、初回ログインで”最大6回まで使える70%OFFクーポン“がもらえます。
クーポンの有効期限は60日もあるのでゆっくり読みたいマンガを探す事ができます。
『ミステリと言う勿れ』をお得に読みたい方は、ぜひebookjapanの70%OFFクーポンをご利用ください。
支払いはPayPayでもできますし、ポイントも溜まります。さらに金、土、日はPayPay支払いで最大20%のポイントが戻ってきますよ。(エントリーを忘れずに!)
ebookjapanはこちら
感想
キャラクターが魅力的
主人公:久能 整
何と言っても主人公の久能整くんのキャラが今までにない…というか、とにかく語る語る。観察力と洞察力に優れているうえに記憶力もピカイチ。数年前に美容室で読んだ週刊誌に載っていた記事の写真の人物(一般人)を覚えているのですから。
そしてカレー好きでカレーは家で自炊。前日から煮込んだり具はもちろんトッピングも色々と変えたりしてかなりこだわってます。1巻以降もカレーの調理場面が多々出てくるのですが、ただ悲しいのが私はカレーがあまり好きではないので美味しそう!ってワクワク出来ないのが悔しい。美味しそうなんだけど。
このエピソード1を読んだ時は、整くんが淡々と相手を理詰めする冷たいキャラに見えたのだけど、だんだんほわほわとした感じに変わっていくんですよね。
余談ですが、ドラマ化された時に整役の菅田将暉くんの演技が「整くんはあんな冷たい感じじゃない」という批判がちらほら出たのですが、1巻の整くんはこうだったよなぁって思うんですけどね。
大隣警察署の面々
episode1で整くんが大隣署に引っ張られてくるので警察関係者がたくさん出てきます。まあ舞台が警察署の話だから一人一人掘り下げたりしてるのかな、と思っていたのですがこの後も整くんと長い付き合いになるとは思いませんでした。
特に青砥巡査部長と池本巡査と風呂光巡査の三人のバランスがいいなぁと。青砥さんは常識があってお堅くて真面目で、と融通が利かないタイプの人だと思っていたのですが、だんだん人間臭さが出てきて色んな面が見られるようになって魅力爆発。池本さんはお調子者だけど仕事ぶりはしっかりしてるし、風呂光さんはひたむきで応援したくなる。
今や大隣署と全然関係ない話でも、三人が整くんの話をしているコマがちらっと出てくるだけでも嬉しいです。
犬堂家の人々
episode2の〝バスジャック犯〟として登場する彼ら。みんな個性ありすぎ。このエピソードだけで終わるのはもったいない…と思っていたら彼らも今後もちょいちょい出てきてくれるし、何なら彼らが主役のお話もあるという。
まあ一巻ではまだほんの触りなので、彼らについてはまた次の巻の時に。
整くんの言葉
ミステリー、推理モノ、というのはもちろんなのですが、会話劇——田村先生は『舞台劇のようなイメージ』と巻末でおっしゃってますが、整くんがつらつらと話す言葉にハッとさせられることが本当に多い。
特にepisode1で整くんが池本巡査にゴミ捨てについて話すのですが、その内容に全主婦が頷いたんじゃないかってくらいその通り!という話で、ほんと世の中の夫たちにぜひ読んでほしいと私の周りでも大絶賛。
あと、池本巡査の奥さんが出産した後の変化について愚痴る彼に、メジャーリーガーの話をするのですがそれもなるほど~って唸ってしまったし、『子供を産んだら女性は変わると言いましたね。当たりまえです。ちょっと目を離したら死んでしまう生き物を育てるんです』という言葉には首がもげそうなほど頷いてしまいました。
episode2ではいじめや殺人について会話が行われるのですが、いじめに関しては本当にその通りでそういう社会になってほしいなと思ってしまうくらい、〝気づき〟を与えてくれます。
こんなに深く考えさせられた漫画ってあったかな?という印象でした。
ストーリー
もちろんストーリーも面白くて、謎解き要素も多々あります。
episode1では整くんが殺人事件の容疑者になってしまうのですが、まあ読者はこの子は濡れ衣なんだろうなと分かりつつ読み進めていくわけですが、次から次と物的証拠が出てきてしまい追い詰められていく…はずが彼の淡々とした態度に大丈夫か?とこっちが心配になってしまうくらいです。
繰り返しになりますが整くんは洞察力に優れている上に記憶力も良い。離れたところで交わされている会話も聞いて覚えているし、見たものも忘れない。そんな彼が小さな違和感や引っ掛かりから推理して犯人にいわゆる「貴方ですよね」とやってしまうのがお見事で。推理するというより見聞きした事実を並べたら分かっちゃったという感じ。
読者にもあれ…? あの人…? と徐々にある人が怪しいと思わせる展開でしたが、犯人は意外と思える人物でしたね。そのあとのやり取りは少し泣いてしまいました。整くんの言葉が刺さる…!
episode2では整くんがひょんなことからバスジャックに遭ってしまうのですが、車内は恐怖に満ちているのに彼はその日が最終日の美術展に行けるかどうかが一番の心配、というどこかズレているというか肝が据わっているというか。
いつもの調子で犯人の話にツッコんだり正論をぶつけたりして相手を逆上させるなどなかなかですが、実はちゃんと相手の一挙手一投足を観察しているんですよね。そこから色々と分析しています。
2巻で分かるのですが、もうこの時点でかなり違和感は集まっていて彼なりに仮説を立てているようです。
舞台が大きなお屋敷に移ったところでいざ次巻!
コメント