『十角館の殺人』 あらすじと感想&ネタバレも?

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ミステリー好きを名乗る者としては、やはり最初に紹介するならこの本でしょう。

ミステリー界の金字塔的存在である綾辻行人先生の『十角館の殺人』(講談社文庫)

この作品は書籍のあらゆるランキングで上位に入ってきます。

たとえば

  • 一度は読むべきミステリー小説
  • ミステリ小説好きが選ぶ最強のミステリ小説
  • どんでん返しがすごいミステリ小説

などなど、ランキング上位というよりほぼ一位を取ってます。

正に“読むべき”なミステリ小説です。

では早速紹介していきましょう!

目次

『十角館の殺人』のあらすじ

半年前、凄惨な四重殺人の起きた九州の孤島に、大学ミステリ研究会の七人が訪れる。島に建つ奇妙な建物「十角館」で彼らを待ち受けていた、恐るべき連続殺人の罠。生き残るのは誰か? 犯人は誰なのか? 鮮烈なトリックとどんでん返しで推理ファンを唸らせた新鋭のデビュー作品。 

講談社文庫 裏表紙より

何と、この絶賛されているミステリー小説は、綾辻行人先生のデビュー作なのです!

しかも綾辻先生がこの第一稿を書かれたのは二十二歳だったとのこと。こちらもびっくりです。

あらすじを読んでみてどうでしょうか?

  • 孤島
  • いわくつきの館
  • ミステリー研究会

これだけ揃っていて何も起きない訳はありません。殺人が起きる舞台は完璧に整っています。

まさにクローズド・サークル(外界との交通や連絡手段を絶たれた閉鎖空間で起こる事件を扱った作品)です。

島に向かう船の中でミステリ話に花を咲かせ、十角館に到着してからは“いわくつき”に興味津々なミステリ研究会の面々。男性五人、女性二人の計七人のキャラはそれぞれバラエティに富んでおり、人間模様も面白い。

殺人が起きるのは『島』なのですが、同時に本土の方でも事件が起きます。

本土の方では元ミステリ研究会の学生の元に誰かの罪を告発する差出人不明の怪文書が郵便で届きます。その内容がミステリ研究会に関する事だったので何となく調べていくうちに、ミステリ研究会の面々が島に行っていることを知ります。

調査に訪れた先で、“探偵”の役割を担う島田という三十代の男性と出会い、現ミステリ研究会の友人にも連絡を取り、この三人で告発文の裏に潜む四重殺人の謎を調べていきます。

本土では『半年前に島で起きた未解決殺人事件』について調べる事となり、島では『連続殺人』が現在進行形で発生して生き残っている面々が調べていく事となり、『島』の過去と現在が交差していく事となります。

『十角館の殺人』の感想(多少のネタバレ有)

◎肝心なネタバレはしませんのでご安心ください

鮮やかなどんでん返し

とにかくこの作品について語られるのは、終盤にある衝撃の一行です。

登場人物のあるセリフなのですが、この一言ですべてが吹っ飛んで行ってしまいます。

「は???」 思わず声が出て

「え? え? どういう事?」 ページを遡ってみたり

「そういう事かー!」 机をバンバン叩いたり

今でもあの衝撃は忘れられません。十角館ファンの方たちは「記憶を消してもう一度あの衝撃を味わいたい」と言います。それほどに鮮やかなどんでん返しなのです。

島のメンバーたちがニックネームで呼び合う訳

彼らはミステリ研究会の代々続く慣習で、海外の推理作家の名前を付けて呼び合っています。エラリイ(エラリイ・クイーン)、カー(ジョン・ディスクン・カー)、ルルウ(ガストン・ルルウ)、ポウ(エドガー・アラン・ポウ)ヴァン(ヴァン・ダイン)、アガサ(アガサ・クリスティ)、オルツィ(エムスカ・オルツィ)といった具合です。

これを見た時、「あーありがちだよねー」「こういう風に呼び合うのが好きな人いるよね」くらいの感想でしかなかったのですが、これが! これが大いに謎解きに関わってくるのです。

彼らの本名が出てくるのは、彼らが死んだ後という正に終盤となっているのです。その頃にはニックネームに慣れきっているので「ああ、本名はこういう名前だったのか」と、逆に戸惑うくらいです。

しかし、この本名が出てこないというのがミソなのです。

これが叙述トリックだったのか~っていうやられた感がすごい。

過去の殺人事件の謎

半年前に島の館で起こった、4人の死体が見つかった凄惨な殺人事件。その当時島には5人いたのに死体は4体しかなく、残り1人の行方が分からないので自殺か他殺かの断定ができずに未解決という事になっています。

この謎を島チーム、本土チームがそれぞれ推理していきます。

島チームは1人ずつ仲間が消えていくという状況に怯えつつ、死んだと思われている男が行方不明になっている男と入れ替わっていて、実際は生きているのでは、という仮説を立てます。

そしてその人物が自分たちを襲っているのではないか? と外部犯説に傾きます。

奇しくも本土チームもその仮説を立てるのですが、こちらは動けるのでその当時の関係者に次々と当たり、洞察力の高い島田が真相を見抜いてしまいます

読者としては、過去の殺人事件の謎が解明されたことで、では現在島チームを襲っているのは誰なのか?と改めて推理しなくてはならないのです。島では外部犯の痕跡が次々と発見されているので余計に分からなくなってしまいます。

入れ替わり説、スゴクいいと思ってワクワクしたんだけどな~(むしろ真相の方が薄ら寒かった)

本土の方では日常生活を送りながら事件を解明しようとしているのと同時に、島では連続殺人が起こっているのに逃げられないし助けも呼べず追い詰められていく、という非日常な出来事との対比が秀逸です。

突然のメディア化

月刊アフタヌーンで漫画化!

1987年に出版されたこの『十角館の殺人』ですが、何と2019年に突然月刊アフタヌーンで漫画化されました。

その叙述トリックから漫画化は無理だと思われていたので、ファンは大いに驚き『アレどうするの? バレちゃうよね??』と大変話題になりました。

もちろん私も読みましたが、「……なるほどなぁ、そうしたか」という感想でした。いや、苦肉の策だと思うのですがこれ原作を知らない人は気づかないものなのかな?と。成功か失敗なのかいまいちわからないという。

ただ、本土チームの一応主役?の元ミステリ研究会の学生の性別が男性から女性に変更されています。

この『性別変更』は映画化などされる時にキャストありきだった場合に良く行われ、賛否両論が巻き起こります。

どうして変更したのかなと思いながら読み進めましたが、結果論でいえば『悪くなかった』ですかね。綾辻先生も『性別変更は大正解だった』とおっしゃっておられますので、もう何もいう事はありますまい。

絵は綺麗です。丁寧に描かれているので残酷シーンも凄惨さが増します。

2024年3月、Huluで実写映像化!

出版から30年経って漫画化という流れに驚いていたら今度は実写映像化とは。

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